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中学受験 倍率についての考察

中学受験 倍率についての考察

先日の記事で「模試の偏差値」について説明させていただきましたが、今回は受験における倍率について述べさせていただきます。

最近は入学願書の受付が始まると、インターネットで日々の出願者数をチェックできるという学校が多いようです。例年に比べて出願者数が多いと、倍率が上がってしまうと不安になり、出願者数が少なければ、倍率が下がるといって安心する。受験生の保護者の方の中にはお子様の志望校の出願状況を見て、こんなふうに一喜一憂したりする方も少なくないのではないでしょうか。

しかし、われわれは倍率はあまり気にする必要はないと考えています。そもそも倍率は受験生や保護者がコントロールできるものではありません。コントロールできないものについて、あれこれと思い悩むぐらいなら、コントロールできることを考えて行動した方が実があるからです。とは言え、気になるのもまた事実だと思いますので、少しだけ倍率について説明いたします。

下のデータを見て下さい。

(大妻中学校 2021年度入試データ)

回数名 入試日 定員 出願者数 実受験者数 合格者数 応募倍率 実質倍率
(1回) 2月1日 100 260 239 115 2.6 2.08
(2回) 2月2日 100 603 497 247 6.03 2.01
(3回) 2月3日 40 345 257 85 8.63 3.02
(4回) 2月5日 40 326 237 59 8.15 4.02

応募倍率と実質倍率を比べてみて下さい。回次によって差はありますが、応募倍率と実質倍率の間には開きがあります。多くの学校で同じような状況があります。

受験当日前までにわかるのは、定員と出願者数だけです。応募の倍率はわかりますが、実質倍率はわかりません。実質倍率とは合格発表が終わるまでわからない結果論なのです。そうであれば、日々出願状況をチェックし、「今日は応募が多かった」と不安になったり、逆に「応募者が少なくてよかった」と安心したりすることには、あまり意味がないということになります。

もし応募倍率を気にするのであれば、それが入試の難易度と相関関係があるかを分析する必要があります。5年分ぐらいの過去問を見て、問題の難易度と合格最低点を分析し、応募の倍率が高いときに、合格最低点が上にずれる(問題が易しくなっただけということもあるので、問題の難度分析が必要です)という現象が見られるかどうかを確認する。もしそのような現象が確認されるのであれば、応募倍率と難易度に相関関係があるということになります。このあたりまで分析するのであれば、応募の倍率を見て、「今年は応募倍率が高く、合格最低点が高くなる可能性が高いので、安全な学校をもう一校受考えておこう」というようなことが考えられるかもしれません。

倍率はコントロールできません。教師や保護者がすべきことは、入試当日にお子様がより良いパフォーマンスが発揮できるようにするために、コントロールできる行動を適正化していくことだけです。

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