毎回、授業の前半において、「国語エクササイズ」というプリントを実施しております。
このプリントは、以下の2つのことを目標としています。
(1)「てにをは」についての感覚、接続語や指示語といったものについての知識や感覚を自然と身につけてもらうこと。
(2)中学受験生、あるいは小学生として身につけておくべき常識を習得してもらうこと。
本日は(2)について書かせていただきます。
本日使用した「国語エクササイズ」には、以下のような問題がありました。
左の写真に映っているような器を(① )と呼びます。料理を詰める箱型の容器で、二重・三重・五重に積み重ねられるようになっています。正月の(② 料理)などの容器に使われます。
(③ )でできているものが一般的ですが、最近ではプラスチック製のものなどもあります。
大人なら簡単に答えられる問題ですが、多くのお子様にとっては正解することは難しい問題でしょう。
今年度の4年生は、読書量も豊富で、小学生としては多くのことを知っていると感心させられることが多いのですが、この問題はできませんでした。「見たことはあるけれど、名前は知らない」とのことでした。
本来、こういった知識はいつ、どこで覚えたものかと言えば、学校や塾などではなく、生活の中においてでしょう。しかし、生活のあり方というのは時代とともに変化します。生活のあり方が変化すれば、その中で身について行く常識というものも当然変わっていきます。お子様達にとっての常識が、大人にとっては「そんなことは聞いたことがない」というようなものであることも珍しくありません。
核家族がほとんどである現在、お正月に多くの人が集まって重箱に詰まった「おせち」をいただくなどという場面は、あまりないかもしれません。とはいえ、重箱というものが世間一般で使用されるることがほぼなくなり、一生の中で出会う機会はほぼないというようなものなのであれば別ですが、現在においてはまだまだ使われる機会のあるものですから、名前や用途は知っておいた方がよいでしょう。
生活スタイルの変化にともなって、身の回りから消えてしまったために、かつては常識であったことが、現代のお子様にとっては常識ではないというようなことは多々あります。
過去にエクササイズで取りあげたものの中では、たとえば「襖」・「床の間」・「縁側」など、日本家屋や和室の関するものの名前については、多くのお子様が知りませんでした。
「お寺」と「神社」の違いとか、大工道具の名前とか(「鑿(のみ)」や「鉋(かんな)」などは、まず小学生は知りません)、果物や野菜の旬とか……。かつての常識は、現代のお子様にとっては常識ではありません。
こういったことについてお子様達が知らないのは無理もないのことなのですが、お子様達がたとえば「縁側って何ですか?」と質問したら、「そんな常識も知らないのか」と思ってしまう大人も少なくないのではないかと思います。
こういった事柄について、今後も「国語エクササイズ」等を使って、「ひとむかし前なら誰でも知っていたようなこと」に触れっていってもらいます。ただ、残念ながら、教室での学習は実体験には及びません。日常の中で、お子様にあまり馴染みのないようなものに触れたときには、その名前や用途などについてお話ししていただければと思います。