4年生の平常授業が本日からスタートしました。
今回の国語の授業では、前半の時間で、写実的な絵を書いてもらう時間を設けました。
「絵を描く」という行為は簡単ではありません。ここでいう「絵を描く」とは、技術、テクニックとしてイラスト的に上手に書けることではなく、目の前に広がる景色をそのままペンで写実的にトレースすることです。
イラスト的に絵を描くことは技術やテクニックを、繰り返し練習すれば上手になるかもしれません。しかし、それは目の前にあるものを写実的に描くというよりは、「一般的にはこれはこう書く」という約束事に従ってペンを動かしていることに他なりません。
そうではなく、自分の目に見えている情報を正確に、写実的に紙に書くということをしてもらいました。見たままを書こうとするのですが、実は見たままを書くというのは難しいことです。
今回、描いてもらったのはスティック糊です。最初は平面的な長方形のスティックを書いてくる生徒が多くいました。見たままを描くということができず、描きやすいように描いてしまうのです。「こんなふうに平面に見えているか?」と言われ、あらためてじっくり観察し、初めて立体として認識していることに思い至り、立体的に描こうとするようになります。
「絵を描く」という目的を与えられたことで、当たり前のものとしてぼんやりと無意識に眺めていた世界について、あらためて見つめなおし、自分の認識をはっきりと意識することができるようになります。「自分が世界を立体として認識している」ということ自覚するのです。
立体的にモノが存在し、それをどう認識するかということについて自覚的になることは、算数の図形を認識する際に有効であることはもちろん、それだけでなく他の教科にも波及し、あらゆる側面において効果を発揮してくると我々は考えております。これについては説明が長大になってしまいますので、ここではあえて説明を避けさせていただきます。
生徒はまだ写実的な絵を描くことに慣れておらず、立体をどのように表現しようか試行錯誤している様子が伺えました。この立体をどう表現しようか試行錯誤しながら紙に絵として落とし込むこと自体が重要だと考えております。これを授業の中で続けていきたいと思います。