5年生の理科では、燃焼の単元を引き続き扱っており、今回は「蒸し焼き」を説明しました。理科での「蒸し焼き」とは,木材を酸素に触れさせずに熱することで,気体・液体・固体の3種類に分解することをいいます。
「蒸し焼き」について覚えることはそれほど多くなく、単に記憶するだけで済ませるなら、難しいテーマではありません。しかし、単に覚えるだけで済ませるのはもったいない単元です。この単元は「燃焼」という言葉を再認識するために有効な単元であると考えています。「蒸し焼き」と「燃焼」とは、燃料を加熱するという共通点があり,初学の者には同じ現象のように見えます。しかし,この2つは全く違うものです。ONEでは燃焼というものを「燃料と酸素が結びつくこと」と説明しています。これに対して,「蒸し焼き」は酸素に触れさせずに熱することをいいます。この「酸素と触れさせずに」というのが思考するポイントとなります。「蒸し焼き」は酸素と触れない点で「燃焼」とは別のものと認識できます。従って、「蒸し焼き」によって生じる物質も燃焼の際に生じた物質とは、別の物質になるだろうと推測できます。また,「蒸し焼き」によって生じた物質は,まだ酸素と触れていないのだから,酸素と触れることで再び「燃焼」するのではないかと考えることもできます。こういったことを考えた上で,「蒸し焼き」と「燃焼」を比較することで,「燃焼」についての理解を深めることができます。
理科という科目では、どうしても知識を覚えることが優先のように感じられてしまいます。実際、知識がないとどうしようもない部分は多いのですが、だからこそ、頭を使って考えることができる機会があれば、積極的に思考してもらいたいと考えています。ですので、今後とも、思考できる機会には、その機会を提供できるように努めていきたいと思っています。