計算練習というと、「23×35-342÷9=」のような形で与えられた計算問題を、数多く解く練習することを思い浮かべる方が多いかと思います。こういった計算練習も計算のルールに習熟して確実に正しい答えを出せるようになるためには必要なことです。しかし、このような形の計算練習だけを繰り返していると、算数の計算に対して、機械的に頭を使わないで行うものというイメージができてしまい、算数の問題を解くときに,意味を考えないで形式的に計算を行うだけのものとして行動するようになってしまう可能性があります。
計算式ではなく日本語の文章で問題を与えられた場合に、算数に苦手意識を持っているお子様は、「掛けるのだろうか、割るのだろうか?」というように計算を優先した発想をしてしまうことがあります。掛け算や割り算の意味がわかっていれば、どのような計算をするべきかについては、問題文を読み取った段階で自然に決まってくるはずです。ここで迷ってしまうのであれば、掛け算や割り算といった計算の意味を具体的にとらえられていない可能性が高いと考えられます。
大人の目線で見れば,掛け算か割り算かを迷うことは無いだろうと思うかもしれません。しかし,これは何回も何回も経験を重ねてきているからこのように感じるだけで,初学者にとって,掛け算はまだしも,割り算の意味はなんとなく感覚的に掴めるものではありません。掛け算とセットにして割り算の意味をまず掴んでもらう必要があります。
算数における計算は、現実の世界と結びついた形での意味があります。計算の意味を考えてもらうために、「短い文章を使って、その文章を読み取った上でどう計算するのかを、立式する段階から考えさせる」練習をしています。計算は何かしらの知りたい数があって、その数を求めるという目的を持って行うものです。形式的に式に数を当てはめて計算をするという姿勢は,早いうちに,日本語の意味を考えて必要な行動をとるという姿勢に変えていかなければいけません。