小4の国語においては「前向きな気持ちで文章を読む」ということを非常に重視しています。
本来、文章というものは「知りたい」とか「楽しみたい」という目的を持って、能動的に読まれるものです。頭と心を動かし、あるときは楽しみながら、あるときは感心しながら、あるときは自問自答しながら読み進めるものです。したがって、国語学習のスタートにおいては、まずは文章を「能動的に読む」姿勢を身につけるということが重要であると考えます。
しかしながら、この姿勢が出来上がる前に「読解演習問題」を解く練習をさせられてしまうことが少なくありません。文章を能動的に読む姿勢ができていないうちに、「制限時間内に問題を解くために文章にざっと目を通す」などということを繰り返していたら、文章を「読む」という行為の本質からは遠ざかっていくことになるでしょう。
これについては先日も関連記事を書きましたので、ご興味がある方はこちらをご参照下さい。
数週間前から「短文読解」というものを取り入れています。
ここまでの学習の中で、お子様たちはみな、文章を「前向きに読む」ということはできてきています。「前向きな気持ち」で読めるようになるには、まずは「楽しく」ということが非常に重要になりますので、これまでの授業では小学校4年生が楽しく読めるであろう物語を中心に扱ってきました。
しかしながら、4年生も終盤に差し掛かってきたということもありますので、ここからは説明的な文章・論理的な文章も扱っていきます。
もちろん、いきなり本格的な長い論説文を読むなどということはしません。ごく短い説明的な文章を、頭と心を動かして読む練習をしてもらいます。
私は年に四、五回はヨーロッパに出かける。ヨーロッパに行くたびに感心するのは、どこの国においても例外なく、犬がとてもよくしつけられているということだ。イギリス、ドイツ、フランス、どこに行ってもそう感じる。日本だと、犬に引きずられるようにして散歩をしている人も少なくないが、そんなことはヨーロッパではまずありえない。散歩中の犬が通りがかりの人に向かってワンワンとほえるなどということも、絶対に考えられない。
いったいなぜ、ヨーロッパ人は犬のしつけが上手なのだろうか。
上の文章が今回扱った「短文」です。「こんな短い文章なんて、誰でも簡単に読める」と思われるかもしれませんが、それは間違いです。これが読めない小学生は少なからずいます。
たとえば、この文章を読み終えたお子様に「この文章の後に続く部分にはどんなことが書かれているか?」と質問したとしましょう。この文章を一文一文噛みしめるように読み、心を動かしていたお子様なら「ヨーロッパ人が犬のしつけがうまい理由」が書かれているはずだと答えるでしょう。しかしながら、漫然と目を通しただけのお子様だと、「犬のこと」などといった答えしか返ってこないかもしれません(間違いではありませんが)。
このぐらいの短い文が読めないうちに、長い文章を読むというのは無茶なことです。長い文章を扱わないというわけではありませんが、しばらくの間は長文を扱う場合は一回の授業で文章を読み切らずに、少しずつ丁寧に読んでもらうようにしていきますので、4年生の塾生保護者の皆様にはご理解のほどよろしくお願いいたします。