「次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。」
国語の読解問題の冒頭には必ずこのような文言があります。
本来、国語の試験を課す側(中学受験の場合であれば「中学校」)は「文章を読み取る力のある生徒」に入学してほしいと思っているはずです。受験生が文章を読み取れているかどうか、受験生ひとりひとりと口頭試問でもすれば明確にわかるのでしょうが、そんなことをすることは様々な要因で不可能です。そこで、いわゆる「読解問題」が出題されるわけです。
多くの塾では、小学校4年生(場合によっては低学年から)から、いわゆる「読解問題」を解くという練習をさせられます。早い時期から実戦的な練習を……ということなのでしょうが、ONEでは4,5年生の間は「設問を解く」ということをほとんどしていません。今回はその理由について述べさせていただきます。
授業において、いわゆる読解問題(文章+設問)を「30分で解きなさい」と指示されたとしましょう。文章を短時間で正しく読解することができる生徒(読解力がもともとある生徒)にとっては、30分で解くということは問題のないことでしょう。しかしながら、「文章を読んでもよく理解できない」という生徒にとっては簡単なことではありません。「文章中の読めない漢字の読み方・知らない語句の意味を質問し、文章の内容を理解しようとていねいに繰り返し読んでいたら、時間がなくなってしまい、結果として設問に手が付けられなかった」というのならいいのですが、たいがいはそうはなりません。「設問に解答しなければいけないから、文章の内容はわからないけれど、とりあえず答案を埋めよう」という形になりがちです。こんなことを繰り返していたら、「文章を読む」ということが、どんどんできなくなってしまいます。これは絶対に避けなければいけない状況です。
制限時間内に問題を解くという練習を繰り返してきた国語が苦手な生徒にはある特長があります。文章の内容が理解できていようが理解できていまいが、同じような短い時間で文章の通読を終えるのです。文章を理解できていなくても、気にせず読み進められてしまうのです。目の前の文章を「読めている」・「読めていない」という判断ができていないということでもあります。こうなってしまうと、修正には時間がかかります。
そういう状況にならないために、4,5年生のONEの国語では、「読解問題を制限時間内に解く」ということをしていません。もちろん、時期が来れば一定期間の演習は必要になりますが、まずは「文章を読む」ことが先だと考えております。
別の観点から同じテーマを扱った記事を過去にアップしておりますので、リンクを貼っておきます。
→ 読解問題を解くことのリスク