前回の授業報告 → 3/2の授業報告-読解の前提となる知識―
今回の授業の冒頭では、前回学習した「生態系」に関する知識を確認するプリントをやってもらいました。前回読んだ「生態系に関する基本知識をまとめた文章」について、いくつかの問いを解いてもらうというものです。
前回説明された内容については、みな概ねよく理解できていました。
ただ、現状においては、まだ一度説明を聞き、文章を授業で一度、家庭で一度ぐらい読んだだけですので、「生態系」に関する知識が当たり前のものになっているわけではありません。たとえば「せいたいけい」を漢字で書きなさいと言われたら、「態」や「系」を正しく書けないというようなことはあるでしょう。しかし、今の段階ではこれは大きな問題ではありません。
「生態系について基本となる知識を覚えよう」などという明確な意識を持たず、繰り返し「生態系についての話を聞く」・「生態系についてふれた文章を読む」ということを通じて、いつの間にか「生態系」についてのイメージができあがり、それが当たり前のものになっている……という状況が理想です。
社会の知識のように、単純に知っているかどうかを直接問われるようなものであれば、「覚える」という意識を持って、記憶に取り組む必要があります。しかし、国語の読解の場合は、知識がストレートに問われるわけではなく、あくまでも「読解の前提」としての知識が求められます。この場合は、単独のワードの意味を辞書的に覚えることにはあまり価値はありません。一つのワードは、そのワードの周辺にある関連事項とともに一塊のイメージとして頭の中に入っているということが重要です。
たとえば「生態系とは何か?」と問われたときに「自然界のある地域に住むすべての生物群集とそれらの生活に関与する環境要因とを一体として見たもの」(大辞林)などと答えられることに価値はありません。それは単なる丸暗記に過ぎず、読解の前提となるような知識ではありません。もっと具体的に「たとえば、山の中にたくさんの植物が生えていて、それをシカやリスなどの草食動物が食べ、その草食動物をクマなどの肉食動物が食べ、そして……」などといった形で説明したり、生態系ピラミッドの絵を描いて自分のことばで説明したりということができることが大切なのです。こういうベースを作った上で新たに「生態系」に関わる文章を読むことで、最初に持ったイメージは少しずつ広がりや奥行きがあるものになっていきます。
授業で読んだ文章については、「家で数回読んでくるように」という指示を出しています。何かを覚えようなどという意識で目の色を変えて読むのではなく、フラットな気持ちで読むことがポイントです。それほど長い文章ではないので、5~10分で読み終えられると思いますので、週に1~2回は読んでいただければと思います。