今週の5年生のBコースの国語の授業では、「文化」をテーマとした文章を扱いました。
これまでに扱ってきた「環境問題」についての文章に比べると、抽象度の高いものが多くなります。そこで使用される言葉も抽象的な言葉が多く、小学生にとっては理解は容易ではありません。読解のためには、テーマや使用される語句についての理解を深め、知識を増やしていくことが肝要です。
今回の授業では、最初に「文化とは何だろう?」という問いかけをしました。生徒たちは「文化」という言葉を耳にしたことはあるのですが、いざそれが何かと尋ねられると、うまく説明はできません。しかし、できないからといって沈黙し、説明されるのを待つというような受け身の姿勢にはならず、何とか説明しようとあれこれと思いめぐらし、積極的に発言をする生徒が多くいました。これは非常に重要なことなのですが、この意味についてはまた別の機会に書こうと思います。
「難しい言葉に出会ったら辞書を引きなさい」ということが言われます。それが有意義なアドバイスとなることもありますが、必ずしも辞書を引いたからといって、言葉の意味のイメージが固まるわけではありません。
たとえば「文化」という言葉を辞書で調べてみましょう。
まずは「大辞林」の説明を引用します。
「広辞苑」や「大辞林」を使用する小学生などほとんどいないでしょうが、この説明を読んだところで、「文化」という言葉のイメージを把握することは難しいでしょう。特に①の説明など、小学生にとっては、もとの「文化」という言葉よりもはるかに分かりにくい、難しいものです。
今度は旺文社の「標準国語辞典」の説明を引用します。
先ほどの「大辞林」の説明に比べればわかりやすくなってはいますが、小学生がこれで納得できるかと言えば難しいでしょう。この説明を覚えたところで、「文化」という言葉を理解したことにはなりません。
幼児がことばを習得していく過程で、辞書を使用するなどということはありません。ある言葉を繰り返し聞くうちに、子供の頭の中に徐々に意味のイメージが出来上がっていきます。その言葉を習得していく過程においては、間違った使い方をして、他者からそれを指摘され、イメージが修正されていくというようなこともあるでしょう。そうやって、子供は言葉を覚えていきます。大事なことは繰り返し聞くことです。繰り返し聞き、繰り返し読んだ言葉については徐々にイメージが出来上がっていきます。
今回の授業においては、「文化」と「文明」という言葉の用例を見て、その差異について、考えてもらい、その上で二つの言葉の共通点や相違点につき、一つの解釈を説明しました。今後の授業においては、これを一つの手がかりとして、「文化」について取り扱った文章を数本、繰り返し読んでいきます。文章により「文化」という言葉の解釈は完全に同一ではありません。これらを繰り返し読むことにより、「文化」という言葉のイメージがある幅をもったものになっていきます。辞書に書かれた説明を覚えることに価値はありません。繰り返し聞き、繰り返し読む中で、言葉のイメージを習得していくことが当面の目標です。