5年生としての授業がスタートし、約2か月が経過しました。記事のアップが遅れ申し訳ございません。
4年次に国語の授業で取り扱った文章は、八割以上は物語・小説でした。読むことに対してネガティブな感情を持たないよう、子どもが読んで楽しいと感じるような物語を中心に扱ってきました。
ここから先、5年生の授業では一転して、論説文・説明文といった論理的な文章を中心に扱っていきます。論説文・説明文は、物語・小説に比べ、筆者の言いたいことがはっきりと明示されているわけですから読みやすいはずなのですが、小学生にとっては難しい語句が使われていたり、テーマになじみがなかったりということもあり、決して簡単ではありません。
最初の段階では長さも短く、論旨が明確で、小学生でも無理なくついてこられるようなテーマの文章を扱いましたが、興味を持ち、前向きな気持ちで読んでくれていました。
現在は、少々テーマとしては難しい文章も扱い始めています。
ある日の授業で扱った内容の一部を紹介します。
わりばしを使うことは森林の破壊につながると考えている人は多い。外食の際にわりばしを使わないようにしようということで、自分専用の「マイはし」を持ち歩いている人もいる。
しかしながら、このような考え方は必ずしも正しいわけではない。
国産のわりばしの大部分は、間伐材といって、森林を保護するために行われる間伐の際に出る木材を使って作られている。森林は人が手を加えず、あまりに多くの木が生えた状態になると、森林の地面の付近に日光が差さなくなってしまう。そうすると、生え始めたばかりの若木は日が当たらず、成長できなくなってしまい、やがて森林は崩壊してしまう。そこで一部の木々を切り倒し、間引くことにより、日光が森林の地面近くまで行き届くようにしてやるのである。
そして、この間伐の際に切り倒された木の一部がわりばしに加工されているのだ。したがって、わりばしを使用することは森林の破壊につながるどころか、むしろ森林の保護につながる可能性もあるのである。
これは実際に授業で扱った文章の一例です。
まずは自分で読んでみるよう指示をすると、『「間伐材」・「間伐」とは何か?』という質問が複数の生徒から出ました。これは非常に重要なことです。文章の内容をしっかりと理解しようとすると、どうしてもこの「間伐」という言葉が問題になります。じっくり読めば書いてあるのですが、しかしその部分にも「間引く」という小学生には馴染みのない言葉が使われているので、「文脈から想像しなさい」という指示を出しても、正解に辿り着くのは難しいでしょう。
「わからない言葉の意味を質問する」ということは、「わからない」ということがわかっており、それを隠さずに素直に認めた上で知ろうとする行動を取れているということです。「わからない言葉があってもわかっているふりをする」というのは、好ましくない態度です。
「間伐」と森林の保全について、時間をかけて説明をした後にもう一度文章を読んでもらい、筆者の主張および主張の根拠をまとめてもらいましたが、ほとんどの生徒が的確にまとめることができていました。
今後は、読解の前提となる知識や教養を深めることが重要になってきます。