ONEでは、宿題というものを非常に重要だと考えています。学年・時期によって、宿題の分量や難度、また目的について意図をもってコントロールしています。
今年の5月にこれについて記事を書いておりますが、その後に入塾された方もいらっしゃいますし、とても重要なことですので、過去記事を加筆修正した上で再度記事にさせていただきます。
一般的には「宿題」とは「授業で学んだ内容を定着させるために家庭で行う演習等」と考えられていると思います。たしかにその通りではありますが、それは宿題のごく一部の機能を捉えているだけだと考えます。宿題は「内容の定着」だけを狙うものではありません。
宿題を使って、「自分でやるべきことをやる」というスタンスを作る。これが内容の定着以前に重要なことになります。
受験期であれば、宿題の主目的は「内容の定着」ということになるでしょう。しかしながら、4,5年生のうちであれば、「内容の定着」以上に重要なことがあります。
大手塾では大量の宿題を課し、それがお子様一人ではできないという場合、「保護者の方が隣についてやらせて下さい」というような指導がされることが少なくないようです。
しかしながら、保護者の方がお子様につきっきりで宿題をやるという方法には、いくつか心配なこともあります。
① 本来、自分でやるべき宿題を保護者の方に手助けしてもらうということが日常的になってしまうと、自分ひとりで勉強することができなくなります。受験までいつもお子様の勉強につきっきり……というのは、保護者の方の時間的負担を考えると、困難だと思います。仮にそれが可能で、その結果、見事に志望校に合格したとしましょう。しかし、中学入学後、お子様は自分で勉強していけるでしょうか? 保護者の方がつっききりで勉強をさせることがお子様の親に対する精神的な依存を高め、精神的な自立を遅らせてしまうかもしれません。
② お子様の学習を横で見ていると、保護者の方はついつい口を出したくなるものです。たとえば、お子様がある問題でつまずき、先に進めなくなっているような場合、保護者の方が教えるということがあるかもしれません。しかし、保護者の方が教えることと、塾で教えていることが必ずしも一致するとは限りません。そうなると、それがお子様の混乱を生み、「内容の定着」が図れなくなる可能性が少なからずあります。
他にもまだ問題はあるのですが、長くなるのでこのぐらいにしておきましょう。
ONEでは、「宿題は自分でやる」というのが基本であると考えます。
勉強をするということは、中学受験で終わるわけではありません。中学・高校、大学受験、そしてその先とずっと続けていくことです。だとすれば、勉強に取り組む姿勢というのを確立することは、その後の成長にとって大きな財産になります。
ただし、宿題を「自分でやる」ということは、けっして簡単なことではありません。なぜなら、大部分のお子様(特に学年が低いお子様)にとっては、宿題は「やりたくないこと」だからです。
ですから、宿題を自分でやれるようになるということは、『「やりたくないこと」であっても「やらなければいけないこと」は絶対にやる』という行動原理を身につけることになるのです。
当然のことですが、いきなり大量の宿題など課したら、「自分でやる」などということはできません。
まずは「無理のない分量・難度でさほど時間のかからない宿題を期日までにやる」ということから始めます。この段階で行動を矯正していかなければならないこともあります。そしてこれが当たり前にできるようになったら、「できないもの」・「わからないもの」の解決のための行動を覚えてもらう。簡単に言ってしまえば、「できなかったものはやり直す」・「それでもできなければ質問をして問題を解決する」というような行動をとれるようにすることです。これができたら、ようやく「宿題を意味ある形でやる」ことができるようになったと言えるでしょう。量的・質的な負荷を本格的に上げていくのは、この行動原理が身についてからです。
こうやって書くと簡単なことのように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。「やりたくないことをやる」・「できないことから目を背けない」という我慢が必要です。
しかし、ずっと我慢し続ける必要があるということではありません。最初はつらくても、その行動を繰り返すうちにそれが当たり前になる。スポーツの練習において、最初はきつかったメニューがそのうちになんともなくなるということと似ていると思います。
きつい思いをすること、そして逃げずに立ち向かうこと、やがてきつかったものが当たり前にできるようになること……というのが、成長のプロセスです。