数日前の記事で、
読書について、
➀ お子様が読みたい本はどんどん与える。
➁ 読みたくないものを強制しない。
ということを書きました。
そこでは触れなかったのですが、この「読みたい本」というのは、マンガでも構いません。活字の本にマンガで得られないものがあることは確かでしょうが、逆にマンガでこそ培われる感覚や能力もあります。
「マンガは活字の本に比べて読むことのハードルが低く、勉強にならない」などと言われることがありますが、これは完全な誤りです。
そもそも、「本を読む」・「マンガを読む」行為を「勉強」に「なる・ならない」などと考えていることに大きな問題があります。「楽しく夢中になって読む」から、結果的に勉強になるのであって、最初から「勉強をさせよう」などをいう意図で、「勉強になりそう」なものを読ませようなどということをしたら、書物に対してマイナスの感情を持ったお子様がひとり誕生するという結果になる可能性がきわめて高いと思います。
また、「マンガは活字の本に比べて読むことのハードルが低く」というのも誤りです。
世の中には、活字の本は読めるのにマンガを読めないという人がいます。
マンガを読むことの難しさに関しては、過去に「コマを追う」ことの難しさについて記事にしたことがあります。→ マンガについて
マンガはさまざまな大きさのコマでページが構成されており、それをどの順番で追っていけばいいのかについての明確なルールが決められているわけではありません。
他にもマンガを読む難しさはあります。たとえば「吹き出し」について。下の2つの吹き出しを比べて下さい。
マンガを読み慣れている人であれば、左が実際に言った台詞、右は心の中で思ったことだという区別はつくでしょう。しかし、マンガを初めて読むという人にはそんな理屈はわかりません。ではマンガを読み慣れた人は最初にそれを誰かに習ったのかと言えば、そういうケースは珍しいでしょう。マンガを繰り返し読んでいるうちに、そういう判断をできるようになっていったのです。
上の文字、絵がないので何の音かはわかりませんが、大きな音を表したものだということはマンガを読み慣れている人はわかるでしょう。しかし、マンガ初心者にそんなルール説明がされることはありません。絵に描かれている状況、文字の雰囲気などから感覚的に判断しているのです。
他にも挙げればきりがないのですが、マンガを読む際にはさまざまな約束事があります。しかし、それは明確に示されているわけではなく、マンガを読みながら内容を解釈していく過程で身につけていくものです。頭を使わずに、ボーッとした状態で絵と文字を眺めているだけでは、ストーリーが理解できなくても不思議はないのです。
マンガだからこそ育つ感覚というのもあります。お子様がマンガが読みたいというのであれば、積極的に読む機会を作っていただければと思います。