国語の文章読解において、最も重要なのは「語彙」が豊富であることです。
多くの受験用の参考書・問題集、進学塾のテキストなどでは、「説明文の読解」・「論説文の読解」・「随筆文の読解」・「物語文の読解」……といった形で文章や問題が並べられており、あたかも文章のジャンルごとに「読み方」が存在するような構成になっていますが、国語が得意な人で「文章のジャンルごとに意識して読み方を変える」などということをする人は皆無でしょう。
文章を読解できるかどうかという意味において、最も重要な要素は「語彙」です。どんなに優秀な小学生でも大学受験の国語で出題される評論を読まされたら、手も足も出ません。なぜなら、意味のわからない言葉が大量に出てくるからです。逆に、あまり国語が得意でない大学受験生が、小学生の国語のテストで出題された文章を読んだなら、解釈に苦しむことはないでしょう。意味の理解できない言葉がほぼないからです。
「語彙」を強化することが、国語の読解力を向上させる上で、最も重要なのです。
では、どうすれば「語彙」を強化できるのか?
様々なアプローチがありますが、
(1)会話
(2)本(マンガも含む)を読むこと
(3)国語の授業
上記の3つのあり方で、語彙を伸ばしていくことができると考えます。
今回は「(1)日常会話」について書かせていただきます。
大人の中には、子どもと話すときに、相手のレベルに合わせて上げようと気を遣って、難しい言葉を使わず、できるだけ易しい言葉を使用しようとする方がいます。これはお子様が新しい言葉を覚える機会を奪うことにつながると考えています。
日常の会話において、受験生であるお子様と話すときには、「子供だから易しい言葉で」という配慮をすることは原則として必要ないと考えます。なぜなら、受験で扱われる文章の多くは、少なくともごく普通の「小学生向け」の文章ではないからです。
特別な配慮をせずお子様と話をする場合、お子様が意味のわからない言葉が出てくることが当然あります。「意味がわからないんだけど」とか「えっ、どういうこと?」となったときに、その言葉について説明し、その後にその言葉を繰り返し使って会話をすることが非常に重要な意味を持ちます。難しい言葉でも繰り返し触れることで、自然と意味や用法を覚えていきます。
「子どもを子ども扱いしない」ということは、語彙の強化という点以外にも、プラスになることが多々あります。これについては、別に機会に詳しく書かせていただくこともあるかと存じます。