今回から「中学受験における過去問について(1) イントロダクション」で挙げた3つ目のポイント「テストに対して慣れていくこと」について、説明させていただきます。
慣れるためには、その対象を具体的にしておかないと混乱してしまいますので、分類して説明していきます。
① 緊張
② 問題形式
③ 出題傾向
④ 時間配分
①緊張
テストは緊張するものです。本番の入試において、緊張しないようにするために過去問を利用するのも事実です。入試では適度な緊張があり、集中力が高まった精神状態になれることは大きな武器です。しかし、これは誰にとっても難しく、理想的な状態で入試に臨める人は極々少数であると言えるでしょう。ここで「緊張はしてしまうもの」として考えたとき、どのように対策をしていけば良いか書いていきます。
・緊張していても点数を取れるようにする
・緊張を緩和する技術を身に着けておく
・緊張を増幅してしまう不安要素を戦略で取り除けるようにしておく
となります。他にもありますが、いつもと同じように話が長くなってしまいますのでこの3つに絞って話を進めさせていただきます。
緊張していても点数が取れるようにする方法は、勘の良い方はお気付きかと思いますが、そうあれです、「九九」にしておくことです。とにかく勉強は「自分の思考対象」を「九九」の状態にすることが目的だと考えてくださって構わないと思います。この状態にしておけば、極度の緊張状態でもないかぎり、思考停止に陥ることはまずありません。できなければいけないことをできるだけ「九九」の状態にしておくことがポイントになります。
つぎに緊張を緩和する技術についてです。テストの前にルーティーンを作るのです。この技術の修得には時間がかかります。
トップアスリートの多くが、試合の際にルーティーンとなる動作を取り入れています。ある所作をすることによって自分に暗示をかけ、いつも通りの集中状態に持っていくということをしています。ちょっと古くなりますが、「イチロー(野球)がバッターボックスに入るときの所作」や「五郎丸(ラグビー)がフリーキックをするときの動き」などが典型です。
こういった所作を自分の無意識に刷り込むまで、繰り返し、繰り返しをする必要があります。つまり、何か月か意識的に行動する・させる必要があります。
「テストの前に深呼吸をしてから、じっくり名前を書く」という方法でも、繰り返しによりルーティン化することで、脳の無意識部分がこれをしっかりと記憶し、緊張状態から通常に近い状態に戻してくれます。
つぎは、「緊張を増幅してしまう不安要素を戦略で取り除けるようにしておく」、これについて書いていきます。
これは、保護者の方と我々が行うべきことになります。中学受験は、2/1から数日間で行われます。この数日間の受験校を戦略的に選択することにより、無用な不安の増幅を避けることが可能になります。具体的な内容は個人面談で志望校選択の相談において扱わせていただきます。面談までに興味のある学校を、偏差値に関係なく3校できれば6校くらいピックアップしておいて頂けると話が進めやすくなります。
ここまで、緊張することが大前提の話をしてきました。じつは本題はここからとなるのですが、長くなりましたので、次の記事にて書かせていただきます。