前回の授業についての記事はこちら。→ 小5国語 記述の宿題について
前回の授業の記述の宿題については、ほとんどの生徒が先週の水曜日・金曜日に答案を提出してくれました。数名、提出が授業当日になってしまった生徒もいますが、さぼったり、とりあえず出せばいいということでいい加減にやってきたりする生徒はいませんでした。
今回の記事では、小5の段階における記述問題に取り組む姿勢について、書かせていただきます。
「本文の要約をしなさい。」・「本文を通じて筆者が言いたかったことをまとめなさい。」というような記述をさせた場合に、生徒の解答は大きく二種類に分かれます。
(1)文中のことばを使ってまとめる。
(2)自分のことばでまとめる。
(1)「文中のことばを使ってまとめる」というのは、本文中の重要と思われる箇所を使って、最小限の修正を加え、解答としての体裁を整えるというような方法です。本文を参照しながら記述をすると、この形で書くことになることが多いと思います。受験において「文中のことばを使って書きなさい」という条件がつく設問は多く出題されますので、得点を取るための実戦的な方法と言えます。
ただし、この方法に問題がないわけではありません。たとえば、「論説文の最も重要な部分は、たいてい本文の一番最後にある」というような思いこみをしているお子様(過去の経験からこのような思い込みを自然に持ってしまうこともあるでしょうし、学校や塾でそういう指導を受けたためにそのように思いこむこともあるでしょう)が、本文の最終段落のことばをほぼそのまま利用し、最小限の修正を行って答えを記述したとしましょう。これでマルがつくこともあるでしょうが、実はそのお子様は本文を熟読して、「ここが重要だ」と把握したわけではなく、ただ「一番最後だから」という理由でその部分を使用しただけである可能性があります。しかも、本文の最後の段落の内容について、実感として内容はよくわかっていないけれど、とりあえず形式的にその段落のことばを抜き出しに近い形で利用しているだけかもしれません。この場合、「わかっていないのにマルがつく」ということが起こる可能性があります。受験本番ならこれでよいのですが、学習過程においては問題点を覆い隠してしまうことになります。
(2)「自分のことばでまとめる」というのは、本文を読んで「こういうことが言いたかったのか」と合点がいったところで、自分の頭の中にある本文の概要あるいは要旨を、本文中のことばに頼らず、自分なりのことばでまとめるという方法です。
本文の内容をしっかりと理解できていない状態でこのやり方で記述すると、本文の内容と大きく異なる「単なる作文」になってしまいます。したがって、記述の答えをみたときに、本文をしっかりと読めているかどうかがはっきりと表れます。「わかっていないのにマルがつく」というようなことが起こらないのです。
受験においては記述の答えが「単なる作文」になってしまったのでは得点はできませんので、その意味では(1)の方が無難ではあるのですが、それだけでは難関校の記述には十分に対応することはできません。最難関校では本文をしっかりと理解した上で、自分のことばで説明をする力が求められます。
受験においては(1)の記述が求められることも(2)の記述が求められることもあります。
では、5年生の段階では記述にどう取り組むべきかと言えば、基本的は(2)の記述をすべきです。本文の内容をしっかりと理解し、自分のわかることば、自分の使いこなせることばで記述をする。もし、見当違いの答えを書いているときは、本文を再読する。これを繰り返し、本文の通読・理解の精度を上げていくことが重要です。文中のことばを器用につなぎ合わせ、無難な答えを書くなどということは、6年生になってから、必要に応じて練習すればよいことです。現時点で必要なことではありません。
(2)の方法で精度の高い記述をできるようになっていれば、(1)の書き方で答案をまとめることは簡単にできます。しかし、逆はそうは行きません。
前回の宿題に関しては、(2)のまとめ方をしている生徒もいましたが、本文を参照しながらまとめたために、結果的に(1)の書き方になっていた生徒が多くいました。
そこで今回は前回読んだ文章を再読した後に、「本文を参照しながら記述をしないこと」・「書いていて行き詰ってしまった時は、本文を再読することは良いが、本文を見ながらの記述はしないこと」という制約をつけた上で、再度、要点を記述をしてもらいました。本日は答案を回収したところで授業が終了となりましたので、15日水曜日に答案を返却いたします。