前回の授業報告です。
前半の授業では、漢字を扱いました。
本日扱った漢字は「勧・遅・画・革・寄」の5つです。ちなみに、それぞれの漢字の配当学年は、以下のようになります。
勧→中学校以上/遅→中学校以上/画→2年生/革→6年生/寄→5年生
小学校の配当漢字ではない漢字も扱っていますが、その理由については別記事に書いておりますので、そちらをご参照下さい。
・漢字の書き取りについて
・入試の国語で必要な漢字と教育漢字は異なります
ONEでは5年生までは漢字の書き取り問題を行いません。漢字の読み方と意味を覚えることに重きを置いています。本日も一つ一つの漢字について、読み方と意味を用例を使って確認し、短文を作る作業をしてもらいました。
後半の授業は読解を扱います。
前週までは「環境問題」について書かれた文章を扱ってきましたが、本日からは「比較文化」に関する文章を扱っていきます。日本の文化を外国の文化と比較し、その上で日本文化の特徴について論じるというような文章は受験でも頻出です。
とは言え、今回の授業ではいきなり比較文化論を読むということはしていません。まずは文章を読む前提となる知識を入れる必要があります。
先ほど、「外国と比較」と書きましたが、ここで日本と比較されるのは、たいていはヨーロッパの国々です。そこでまず「ヨーロッパ」について、一般的には「常識」だと思われるようなことから説明をしていきました。
まず「ヨーロッパ」とは国ではないというところから話を始めました。日本とヨーロッパを比較するという言い方をすると、「ヨーロッパは国」という印象を持ってしまう生徒もいるでしょう。基本的に「比較」をする場合は、同じカテゴリーのものが比較されるのですから、そう思ってしまうのも無理はありません。
世界は、アジア・ヨーロッパ・アフリカ・北アメリカ・南アメリカ・オセアニアという五つの大州と呼ばれる地域に分けられるということを説明し、世界地図上で位置を確認しました。その上でヨーロッパという大州の中に「イギリスやフランスやドイツやイタリア……など50ほどの国がある」ということを確認しました。
「こんなことは常識でわざわざ教えることではない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。確かに大人にとっては常識と言っていいことでしょう。しかしながら、小学生にとってはけっして常識と言えるようなものではありません。大州の名前も国名も都市名も全部カタカナで表記されているわけですから、すべてが同列に見えても不思議ではありません。小学校で世界の国々について時間をかけて学習することもありません。小学生にとっては、当たり前などということはないのです。
あくまでもこれは一例ですが、小学生には、大人にとっての「常識」は通用しません。ふつうこのぐらいは知っているだろうと思われるようなことについて、どの程度の知識を持っているかについては、個人差がかなりあります。今回の授業でも個々の生徒があらかじめ持っている知識には、かなりの差がありました。
文章が読めない原因はさまざまですが、「常識がない」・「知識がない」という理由で文章を読むことが苦手だというお子様は少なくありません。「国語ができない」という悩みを抱えて転塾されてきたお子様の中には、文章を読む感覚自体は悪くないのに、さまざまな「知識」が少なすぎて文章を読めないという方が少なからずいらっしゃいます。前提知識を持たない状態で文章を読まされれるという経験は、単に苦痛となるだけで、得るものはありません。それが長期に及べば、読めるはずの文章まで読めなくなってしまう危険すらあるかもしれません。
今回、「ヨーロッパ」について学習しましたが、一回触れたぐらいでは、すぐに忘れてしまいます。繰り返し確認し、そこで学んだ常識を使って文章を読むということをしばらくの間、継続していきます。