前期から「環境」に関わる文章を扱っています。ここまでに「生態系」に関する文章、「身近な自然環境の保全」に関する文章などを扱ってきています。
夏期講習においては、「地球環境問題」について扱っています。
環境問題について論じた文章は受験でも頻出ですが、文章を読む前提として一定レベルの知識がないと、スムーズに文章を読み進めることは容易ではありません。少しだけ受験で取り上げられた文章を引用してみましょう。
フロンガスの話を聞いたことがあるでしょう。工場や、また家庭でも冷房や冷蔵庫や自動車やスプレーに使われているフロンが、使われたあとに空気のなかを上がっていって、地球をとり巻いているオゾン層を破壊するという問題です。じつはフロンは大発明でした。工場で半導体をきれいにするためや冷房機の冷媒としては、フロンほど性能が良くて安いものはなかったのです。さわっても吸いこんでも身体に大きな悪影響があるわけではなかったので、人体に無害だとさえいわれた新製品だったのです。
(島村英紀『かけがえのない地球』より)
冒頭に「フロンガスの話を聞いたことがあるでしょう。」と書かれています。要するに、読者が予備知識を持っていることを前提としているのです。読者は知っているだろうからという想定があるためか、「フロンガスがオゾン層を破壊すると、どういう問題が起きるのか」ということについて、全く説明がされていません。オゾン層の破壊について、あらかじめ知っておかないと、この文章を読んでも「いったい何が問題なんだ?」となってしまいます。
夏期講習前半の授業では、地球温暖化、酸性雨、砂漠化、オゾン層破壊……といった地球規模の環境問題について、それらがどのような問題で、なぜ起こったのか、どのような対策が行われているのかといったことについて、前提として知っておきたい内容の説明をし、また知っておきたい基本的な内容について書かれた文章をイントロダクションとして読んでもらいました。
説明の内容についてはノートにまとめてもらい、その内容が理解できたかどうかについて問答をし、その後に知識のまとめとなる文章を読み、さらにその内容についての問答をするということを行いました。これらのテーマについて現時点で知っておくべき知識は一通りは理解できていました。
お盆休み明けにもう一度復習をした上で、身につけた知識を使って文章を読んでもらう予定です。