連続ドラマやアニメを見ていると、話が盛り上がってきて「さあ、どうなるんだ?」となったところで、「つづく」とか「to be continued…」の文字が画面上に現れる。「来週はどうなるんだろう」という期待感をもって、翌週の放送を待つ。そして次の週の同じ時間帯にテレビの画面の前に座ってわくわくしながら続きを視聴する。こういう経験は、お子様の成長にとって大きな意味を持つと考えます。
本を読むに際しても、それが活字の小説であっても、マンガであっても、「次はどうなるんだろう?」と思って、読みたいと切望しながら読むということはとても大切なことだと思います。
読みたくはないがしかたないから読むという人と、読みたくて読みたくてウズウズしている人と、どちらに対して文章は多くを語ってくれるかと言えば、答えは明らかでしょう。
授業においては、上記のような経験をしてもらうことを目的に、少々長めの物語や小説を何回かに分けて読むということを行います。
最初は何が書かれているのかわからない状態から読み始めます。「さあこれからどうなるんだろう」という期待感が高まったところで、「続きは来週」ということで文章を読むのをやめます。生徒たちは中途半端なところで終わってしまったことにいささか不満そうな様子を見せますが、「このあとどうなるだろう?」といった具合に続きの内容に思いをはせてもらうなどして、続きの内容への期待を高めて、授業を終えます。
14日の授業では、新見南吉の作品を途中まで読んでもらいました。いよいよこれから……というところで、続きはまた来週となりました。帰り支度をしながら、続きの部分の展開をしゃべっている生徒もいました。
翌週の授業では「早く続きを読みたい」という思いを持って読んでくれます。予想を超える展開に感激することもあれば、ときには期待ほどではない展開にがっかりすることもあるかもしれません。大事なことは、ポジティブな姿勢で文章を読んだということです。
文章を読むことに対してネガティブな姿勢ができてしまうことは、大きなマイナスです。
受験勉強の過程においては、通常は小学生が進んで読もうとはしないであろう文章を読まなければいけないこともあります。だからといって、そういう文章ばかりを与えられていたら、「文章を読むことは面白くない」・「文章は設問を解くために、しかたなく読むもの」といったネガティブな感情を持ってしまいます。
まずは心動かしながら、期待感をもって読める文章を読むということを楽しむという経験を通じて、読むことに対してマイナス感情を持たないこと、できればポジティブな姿勢を持てるようになることを念頭に置いて授業を進めております。