入試日別の難易度表というものがあります。模試を主催する塾のHPで見ることができます。
この難易度表を見る際に注意していただきたいことがあります。
表の上の方に載っている学校は難関校、下の方に載っている学校は易しい学校と考えてしまいがちなのですが、このように考えることは必ずしも正しいわけではありません。
こういう表を見て「難関校というのは、どのぐらいの偏差値からだと思いますか?」と尋ねると、おそらく多くの方は「偏差値60~65」ぐらいから上を難関校とお答えになると思われます。
では、偏差値50の学校は難しくないのでしょうか。
偏差値は受験した母集団の中での自分の相対的な位置を知るためのものです。
中学受験で用いられる偏差値は、中学受験を志し、塾に通うなどして、学校の勉強以外に特別な勉強をしているお子様たちが母集団となっています。中学受験を志すお子様は首都圏においても小学生全体の20%未満です。このお子様たちは特別な勉強をしているわけですから、小学生全体の中では学力的にはかなり上位を占めるお子様が中心になります。
したがって、中学受験における偏差値50というのは、特別な勉強をしている私国立中学を目指すお子様の中での平均・真ん中ということであって、平均的な学力の小学生が努力をせずに合格できるわけではありません。偏差値50の中学は、平均的な学力の小学生にとっては難関校です。
中学受験の偏差値は、高校受験や大学受験の偏差値と比べることはできません。中学受験をする人の割合は小学生全体の20%未満、高校受験をする人は公立中学に通う生徒のほぼ100%、大学受験をする生徒は高校生の約50%です。これだけでも同じ基準で偏差値を見ることができないことはおわかりになると思います。
ある中学校の偏差値が45、ところがこの学校の併設の高校の高校受験における偏差値は65……などということは珍しくありません。これを高校になると急に難しくなると考えるのは、必ずしも正しくありません。中学も難しいのだけれど、45という偏差値の数字だけを見て難しくないと思いこんでしまった……というふうに考える方が、正解に近いと思います。
偏差値を見る際はこういったことにも目を向けておく必要があります。