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小5 国語 言葉の理解について

今週の5年生のBコースの国語の授業では、「文化」をテーマとした文章を扱いました。

これまでに扱ってきた「環境問題」についての文章に比べると、抽象度の高いものが多くなります。そこで使用される言葉も抽象的な言葉が多く、小学生にとっては理解は容易ではありません。読解のためには、テーマや使用される語句についての理解を深め、知識を増やしていくことが肝要です。

 

今回の授業では、最初に「文化とは何だろう?」という問いかけをしました。生徒たちは「文化」という言葉を耳にしたことはあるのですが、いざそれが何かと尋ねられると、うまく説明はできません。しかし、できないからといって沈黙し、説明されるのを待つというような受け身の姿勢にはならず、何とか説明しようとあれこれと思いめぐらし、積極的に発言をする生徒が多くいました。これは非常に重要なことなのですが、この意味についてはまた別の機会に書こうと思います。

「難しい言葉に出会ったら辞書を引きなさい」ということが言われます。それが有意義なアドバイスとなることもありますが、必ずしも辞書を引いたからといって、言葉の意味のイメージが固まるわけではありません。

たとえば「文化」という言葉を辞書で調べてみましょう。

まずは「大辞林」の説明を引用します。

ぶんか【文化】
① 〔culture〕 社会を構成する人々によって習得・共有・伝達される行動様式ないし生活様式の総体。言語・習俗・道徳・宗教、種々の制度などはその具体例。文化相対主義においては、それぞれの人間集団は個別の文化をもち、個別文化はそれぞれ独自の価値をもっており、その間に高低・優劣の差はないとされる。カルチャー。
② 学問・芸術・宗教・道徳など、主として精神的活動から生み出されたもの。
③ 世の中が開け進み、生活が快適で便利になること。文明開化。
④ 他の語の上に付いて、ハイカラ・便利・新式などの意を表す。

「広辞苑」や「大辞林」を使用する小学生などほとんどいないでしょうが、この説明を読んだところで、「文化」という言葉のイメージを把握することは難しいでしょう。特に①の説明など、小学生にとっては、もとの「文化」という言葉よりもはるかに分かりにくい、難しいものです。

今度は旺文社の「標準国語辞典」の説明を引用します。

① 世の中が開けて進歩すること。生活が便利になること。
② 学問・芸術・宗教・法律・習慣・技術・知識など、人類がある目的に従って理想を実現してゆく過程で学習し作り出したあらゆる成果。狭義には、精神的価値の成果を言う。

先ほどの「大辞林」の説明に比べればわかりやすくなってはいますが、小学生がこれで納得できるかと言えば難しいでしょう。この説明を覚えたところで、「文化」という言葉を理解したことにはなりません。

幼児がことばを習得していく過程で、辞書を使用するなどということはありません。ある言葉を繰り返し聞くうちに、子供の頭の中に徐々に意味のイメージが出来上がっていきます。その言葉を習得していく過程においては、間違った使い方をして、他者からそれを指摘され、イメージが修正されていくというようなこともあるでしょう。そうやって、子供は言葉を覚えていきます。大事なことは繰り返し聞くことです。繰り返し聞き、繰り返し読んだ言葉については徐々にイメージが出来上がっていきます。

今回の授業においては、「文化」と「文明」という言葉の用例を見て、その差異について、考えてもらい、その上で二つの言葉の共通点や相違点につき、一つの解釈を説明しました。今後の授業においては、これを一つの手がかりとして、「文化」について取り扱った文章を数本、繰り返し読んでいきます。文章により「文化」という言葉の解釈は完全に同一ではありません。これらを繰り返し読むことにより、「文化」という言葉のイメージがある幅をもったものになっていきます。辞書に書かれた説明を覚えることに価値はありません。繰り返し聞き、繰り返し読む中で、言葉のイメージを習得していくことが当面の目標です。

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