「自分で学習している際にわからないこと出会ったら質問をする」というのは、学習においては当たり前のことのように思われるかもしれません。大手塾に通われている方で入塾相談におみえになられた保護者の方の中には「わからないことがあっても、通っている塾では質問をできる時間がない」ということを転塾を検討する理由として挙げる方もいらっしゃいます。
困ったときに質問ができるという環境があるということは重要なことですが、しかし環境があるからといってそれをみなが有効に使えるかといえば、それはけっして簡単なことではありません。適切に質問をするということは、思いのほか難しいことです。今回の記事では、「質問をすることの難しさ」について書かせていただきます。
(1) 安易に質問をしてはいけない
問題をぱっと見た瞬間に解き方がわからないとなると、すぐに質問をするというお子様もいらっしゃいます。しかし、何でもかんでも質問をすればいいのかと言えば、そうではありません。自分でじっくりと時間をかけて考えれば解決できることは自分で解決すべきです。自分で考えることを放棄し、質問をして安易に解決しようとしている場合は、質問には答えず、「自分で考えて解決しなさい」という形で突き放すことが必要になります。このような場合、お子様は「質問しても答えてもらえなかった」と不満を抱くことがあるかもしれませんが、お子様が自立的・自律的に学習できるようにするためには必要な対応となりますので、ご理解いただければと存じます。
(2) 質問に行くことをためらってはいけない
先ほどの内容と矛盾するように思われるかもしれませんが、自分で考えてもどうにもならない問題については、いつまでも悩んでいても、いたずらに時間を消費するだけです。さっさと質問に行かなければなりません。自分で解決できないものについては、できるだけ早く質問をして、解決のための行動をとる必要があるのです。
上記の(1),(2)からわかることは
☆ 自分で考えて自力で解決できるものは自力で解決しなければならない。
☆ 自分で考えても解決できないものは、質問をして解決をしなければならない。
ということです。
では、お子様がある問題を「自力で解決できるかどうか」を適正に判断できるかというと、それは簡単なことではありません。「質問に行ったが答えてもらえず、自分で考えるように指示される」・「いつまでも一人で悩んでいたら、さっさと質問をしなさいと注意をされる」といった経験を繰り返す中で、徐々にこれは自力で解決できるのか、質問をする必要があるのか、といったことについての判断が少しずつできるようになってきます。自分でよかれと思ってやっている行動について、注意を受けることは、精神的に負担に感じられることもあるかもしれませんが、成長のために必要なステップだとお考えいただければ幸いです。