6月から植木算を扱っています。
例題:「4本の木を、2mの間隔で、一直線に植えました。端から端まで何mですか。」
この問題については2×4=8mという誤答を多く見かけます。
この誤答については、問題文にある2つの数字を掛け算しただけで、何も考えずに計算だけをしているようにも思えます。しかし、何も考えていないわけではありません。四則演算の中から掛け算を選んだ時点で、2mの個数を数えようという発想は読み取れます。結局、木の本数と2mの間隔の個数とを混同しているだけで、自分なりにしっかりと合理的に考えているけど、情報の整理が至っていないだけなのです。
こういった生徒に対し、教える側は往々にして「もっと考えなさい」と言ってしまいがちです。しかし、間違ってはいるけれど「考えていない」わけではないのです。自分なりに考えたのに「考えていない」と決めつけられてしまう経験を繰り返すと、「考える」ということがどういうことなのか、わからなくなってしまう危険があります。教える側としてこれは避けなければなりません。
この間違いは自分が取り扱っている数字が、物の情報なのか、間の情報なのかをきちんと把握したうえで行動できていないことが原因ということになります。つまり計算の前に文章が正しく読めていないのです。上記の誤答をした生徒に対しては、木の本数と間の個数が異なることを明示して、必要な情報を問題文から読み取れていないことに気がついてもらう必要があります。
自分にとって必要な情報を問題文から的確に読み取ることは、簡単にできるようになることではありません。時間をかけて徹底してやる必要があります。小学4年生の段階で、まず問題文を読むことも算数の勉強だと感じてもらいたいと思い、そのための一つの題材として植木算を利用しました。
(榎本)