今週の4年生の授業では芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を読んでもらいました。
難しい漢字にルビをふって読みやすくし、さらに予備知識がないと理解しにくいと思われることがらについてはあらかじめ説明を加えました。さらに物語の冒頭部分について状況を簡単に説明した上で、「さて続きはどうなるのだろう?」ということで自力で文章を読んでもらいました。
みな黙々と文章を読み進めていました。文章自体は短いのであっという間に読み終えるのですが、感想を述べる生徒もいれば、この後はどうなるのだという質問をしてくる生徒もいます。積極的に楽しもうという姿勢で文章を読めていることに感心させられます。読むことに対しポジティブな感情を持てるようになるということは非常に重要です。
文章を読むことに対してネガティブな感情を持ってしまうと、それを払拭することは簡単ではありません。お子様の成長段階に対して、あまりに難しい文章や抽象度の高い文章を与え続ければ、文章を読むことが苦痛になります。国語が苦手だというお子様の中には、このような経験によって、文章嫌いになってしまっている人が少なからずいます。そうならないために、4年生ぐらいまでの段階ではまずは楽しく文章を読めるという経験を積むことがもっとも重要だと考えています。
先日、保護者の方と面談した際に、国語の授業があった日に、お子様がその日に読んだ文章の内容を保護者の方に話したがるというお話をうかがいました。文章を楽しく読めているということなのでとてもよいことだと思いますし、その内容を頭の中で反芻しながら説明するということもよい勉強になると思います。
なお、四年生の段階では文章を読んだ後に設問を解くということはいたしません。設問を解くために文章を読むということになると、文章を読むことが問題を解くための単なる手段となってしまいます。4年生の間は、読むこと、そして内容を味わうことを「目的」に文章に読むということを繰り返していきます。