長文読解が苦手だと言っている中学生の多くは、本当に文章を読むのが苦手なのでしょうか。
実は「文章を読むことができない」のではなく、「一定のレベル以上の文章を読むことができない」というケースがほとんどです。本当に「全く文章を読むことができない」という状態であれば、小学生が読むような児童書を読んでも、さっぱり意味がとらえられないということになるはずですが、そういうケースはきわめて稀です。
長文読解が苦手だという中学生の大部分は、教科書や入試問題で取り上げられるレベルの文章の理解ができないということです。
文章というものは一定の読者層を想定して書かれます。もし、読者がその設定された読者のレベルに達していなければ、その文章は理解できません。
たとえば『勝つための将棋 居飛車の研究』という本は、趣味として将棋をたしなむ人を対象に書かれています。将棋をさしたことのない人、ルールすら知らない人などは相手にしていません。だから、将棋はどうしたら勝ちになるとか、駒の並べ方とか、桂馬はどう進むとか、といったことは当然知っているだろうという前提のもとに書かれています。想定された読者の知識レベルに達していないのであれば、その文章は読めません。
どんなに国語が得意だという人であっても、この想定された読者の知識レベルに達していないなら、その文章は読めません。こうすれば読めるというようなことを説明している国語の教師も『左冠動脈近位部血流の検出率と検出時間における機種および検者依存性に関する検討』などという医学論文を読めと言われたら、お手上げです。この論文は、心臓外科医や心臓外科医を目指す医学生などを読者として想定しているので、そうでない人には何のことやらさっぱりわからないのです。
文章の読解ができないという生徒の多くは、教科書や入試問題で取り上げられている文章の筆者が想定した読者のレベルに達していないということです。「想定された読者」が知っているであろう知識や教養をあらかじめ知った状態から読み始めれば、文章の内容がわからないなどということはありません。
高校受験の国語で出題される文章の中には、中学生が日常の中で読むであろう文章とは乖離したものが少なくありません。これらの文章を読んで、内容を理解できるようになるためには、文章読解の前提となる知識や教養を身につけておく必要があります。
高校受験で出題される文章の頻出テーマについて、知っておくべき内容について繰り返し説明を聞き、テーマについての理解を深めるための文章を繰り返し読み、そこで身につけた知識や教養を使って、一段階レベルの高い文章を読んでいくという形で授業を進めていきます。
より具体的には過去のブログ記事をご参照下さい。
→ http://shingaku1one.com/2018-7-13/
授業のメインは長文読解になりますが、古文や口語文法などの知識事項についても、定期テスト対策として、あるいは志望校が確定し、それがまとまった形で出題される場合には、適宜指導を行っていきます。