授業実施日 8月20日
科目 算数
学年4年
夏期講習の算数最終授業では、「ポリドロン」を使って、平面図形を組み合わせて立体図形を構築する経験をしてもらいました。
「ポリドロン」とは、三角形や四角形など多種類の平面ピースを組み合わせて立体図形を作ることが出来る教材です。
(詳細は公式HPをご覧ください→ https://www.tokyo-shoseki.co.jp/polydron/ )
今回は、ポリドロンを通して得られる「算数の図形的感覚」ではなく、あえて「手先の感覚」の重要性についてお伝えします。
授業では最初に約束事として、
・ピース同士がきちんとはまった状態を完成とする
・ピースも完成品も壊さないようにする
この2点を確認しました。これは、力加減の調整を養うトレーニングです。
実際にピースを組み立てるには、ある程度の力が必要です。しかし力が強すぎると逆に壊れてしまいます。そのため、生徒たちは自然と指先の力加減を細かく調節することを求められます。
これは単なる遊びではなく、実は「思考を表現する」練習にもつながっています。4年生はまだ「頭の中で考えているほど器用に表現すること」に不慣れです。
勉強において「表現しない・できない」ことはデメリットです。それは自分の間違いを無意識に誤魔化してしまうことにつながるからです。
例えば、考え方が間違っている状態で問題を解き進めたとします。この時、自分の考えを“他者に分かるように表現していない”と、正解してしまった場合、間違いが修正されない状態が起こります。また、解説を聞いて理解できてしまうと、本人は「ただ計算ミスをしただけだ」などの誤認が生じ、本質的な間違いの修正ができなくなる可能性を秘めているからです。
これは本人に悪気があるわけではありません。人間にとって「自分の間違いを認める」という行為は大きな負担であり、無意識にこれを避ける傾向があります。この負担を避けず受け入れられるようになることが勉強のひとつの目的です。まだ勉強に不慣れな4年生にとっては特に難しいことです。
そこで、ポリドロンやパズルなどを使って、算数の題材を使いながら、自然に「表現・修正する」ことに慣れていく練習を取り入れています。今回のポリドロンでは、力加減の調整は必須であり誤魔化しが利かず、上手くいかない場合でも逃げ場はありません。いやでも自分の意図と、手先での表現を調整する必要があります。最初は焦れながら、徐々に上手くなっていくのです。この経験は、“脳内(形而上)”で行われる他者から認識できない領域での思考を誤魔化さないという価値観を構築するひとつの助けになると思います。
様々な教材を扱いながら、勉強に必要な感覚を身に着けるよう、しっかりとサポートしてまいります。
池田