「質問をする」というのは、学習において当たり前のことのように思われるかもしれません。しかし、質問するという行為は、実は想像以上に難しいものです。
今回の記事では、「質問をすることの難しさ」について書いて参ります。
質問するとき、気を付けなければいけないことは、つぎの2点になります。
① 安易に質問してはいけない
② 質問をためらってはいけない
この2点は、一見相反するように見えます。
具体例を挙げると、
①では、「質問に行ったら答えてもらえず、自分で考えるように言われた」
②であれば、「長く悩み続けていたら、早く質問しなさいと注意された」
しかし、付帯する状況次第でどちらにも合理性があるのです。この相反する内容について説明していきます。
① 安易に質問してはいけない
問題を見て「解き方が分からない」と判断し、何もせずに質問に来る生徒がいます。しかし、自力で出来ることがあります。それは、「思い出そうとすること」、さらに「関連性がありそうなものごとを書きだすこと」です。この2点は、過去記事で書いている2つの重要なポイントとつながります。
・思い出したときに覚える
・答えが重要でなく、アプローチが重要である
ここからも分かるように、安易に質問受けをしてしまうと、生徒の成長の機会が失われる可能性があるのです。まずは、自力で出来ることをやってくること。これが、質問する前の重要な作業となります。しかし、4、5年生の段階では、この姿勢がまだ身についていません。ONEでは、まずは質問に来てもらい上記のような質問の仕方ができるようにアプローチをかけています。
② 質問をためらってはいけない
先ほどの内容とは逆のように思われるかもしれませんが、①の姿勢ができ、上記2点をできる限り自力で行った後は、質問をためらわない方が良い場合が多いです。まだ悩めるのではないか、できることがあるのではないかと考えることは思考を育て能力が上がることも事実です。しかし、①の姿勢ができているのであれば、「関連性がありそうなものごとを書きだすこと」によって十分担保されると考えて差し支えないと思います。ONEの小学生は、中学受験をすることが主目的です。時間制限がある中で、効率的に学習し、頭脳とともに得点力も上げていく必要があります。質問前に必要な要件を満たしたならば、ためらわず質問に来ることが大切になります。
以上が相反しているように見える指示の説明となります。
当然、小学生にとって、
「質問に行ったら答えてもらえず、自分で考えるように言われた」
「長く悩み続けていたら、早く質問しなさいと注意された」
は、相反する文言に聞こえるでしょう。しかし、教師側には明確な意図があり、生徒が混乱することも想定内です。6年生の中盤にもなると、質問をすることの意味や、こちら側の指摘の意図を汲みとれるようになります。質問することは難しいです。だからこそ、“質問できるようになってもらう”ことがONEの重要なひとつの授業となります。