前週の記事で書かせていただいた通り、本日の授業においては「イントロダクション」で得た知識を使って、実際に中学受験で取りあげられるような「環境問題について論じた文章」を読んでもらいました。
イントロダクションで得た知識は、文章を読んでいく際の下支えとなります。しかしながら、それだけですいすいと文章を読む進められるかというと、必ずしもそれで十分というわけではありません。「環境問題」というテーマに関わる知識ではなく、一般的な言語知識が足りないために文章の理解がおぼつかないという状態が起こることもあります。
お子様達に「〇行目~〇行目まで読んで、読めない語句や意味のわからない語句を挙げるように」と指示をすると、お子様達から「△△という語句の意味がわからない」というような発言があります。多くのお子様が異口同音に「わからない」という言葉もありますが、中には「自分だけがわからない」語句などもあるでしょう。こういうときに「自分のわからない言葉」の意味をしっかりと質問できるということは非常に重要です。「こんなことを聞いて大丈夫だろうか?」などと不安になって、わからない言葉をほったらかすということは、大きな損失になります。「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」という言葉もありますが、わからないことはわからないこととして質問をして解決する必要があります。現時点では、恥ずかしがって質問をしないというお子様はいらっしゃいませんが、成長に伴って、周囲の目などを気にするようになってくるかもしれません。「周囲の目を気にする」ということは悪いことではありませんが、それがマイナスに働く状況にならないよう、気をつけてまいりたいと存じます。
本日、意味のわからない言葉として多くのお子様が取り上げたのは「副産物」という言葉です。「ある製品を生産する過程で、それに付随して得られる他の産物」といった辞書の説明を提示したところでピンとくるわけではありません。できる限り具体的な例を挙げなければ理解が難しいでしょう。「日本酒を作る過程でできる酒粕」・「豆腐の生産過程でできるおから」の例を挙げると、イメージを掴めたお子様もいらっしゃいましたが、「酒粕(甘酒)」や「おから」を知らないというお子様もいらっしゃいました。こればかりは実物を見たことがないと実感がわきませんので、別方向からの説明も加えていきました(もし、お子様が「酒粕」や「おから」をご存知でないようであれば、実際にお見せいただくとよいと思います)。
筆者が「当然読者がわかっている」と思って使っている言葉については、読む側はその大半の意味をわからなければ読み進めることはできません。
本日は語句説明に時間を割いたので、実際に意味を確認しながら文章を読み進められたのは十数行です。現時点においては、文章を読むための材料を十分に整えてから、文章を読んでいただきますので、一本の文章を読むのに多くの時間を費やしますが、文章読むということの意味合いを理解するために必要なことですので、ご理解いただければと存じます。