4週間前から、後半の読解の授業では「比較文化」をテーマとした文章を扱っています。
最初の週はイントロダクションとして、日本と比較されることの多いヨーロッパについての基礎知識について説明をしました。まるで社会の授業のようですが、ヨーロッパが世界のどこにあるかということすら知らない状態で、「日本とヨーロッパを比較した文章」を読んでも、的確に意味を捉えることはできません。そもそも小学生だと、世界地理を扱う機会があまりないので、「ヨーロッパ」というのが国の名前だと思っていたりするケースもあります。「ヨーロッパって国じゃないの?」などという大人がいたら非常識の誹りを免れないでしょうが、小学生が同様の発言をしたとしても何ら責められる理由はありません。今までに何度も触れる機会があったのであればともかく、触れたことがない、あるいは触れる機会がごく限られていたために知らないだけなのです。こういったことについては、繰り返し触れさせて、常識として定着させていきます。
現在は、ヨーロッパと日本の子育てについて比較して論じた文章を読んでいます。
この文章を扱い始めてから、今回は3週目になります。「一本の文章にそんなに時間をかけるのですか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、時間をかけずにさらっと読むだけではもったいないのです。「10分程度で文章に一通り目を通して、設問を解いて終わり」では、一本の文章から何も学ぶことができません。「読書百遍義自ずから通ず」と言うことばあります。もちろん、授業で「百遍」は読みませんが、「百編」の労力と時間を短縮するために必要な説明を加えるのですが、たとえ説明が加えられたとしても、文章に書かれた知識や思想を自分の中に取り込むには、一度や二度の通読では不可能です。
じっくりと時間をかけて文章を繰り返し読み、そこで言語やテーマについての知識や見識を得る。そしてそこで得た知識や見識を使って、少しレベルの高い文章を読んでいく。
こういった形で授業を進めてまいります。一本の文章を何週間にもわたって扱うことになりますが、ご理解いただければと存じます。