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中学部国語 前提知識の重要性

中学部・国語の授業の様子を書かせていただきます。

今週は初めて授業を受ける生徒がいたので、「文章を読むとはどういうことか」・「文章を理解するためにはどういうことが必要か」という点について、短い文章を用いながら考えてもらいました。

初めて来た中学生に対しては、いつも最初の段階で対象レベルが小学校5年生ぐらいの短い文章を何本か読んでもらいます。これを的確に読めているのであれば、「文章を読む」という動作はきちんとできるといっていいと思います。もし、これの内容をつかめないようであれば、読み取れない理由を把握するために、もっと易しい文章を読んでもらう必要もあります。

多くの中学生は、先ほどの小5レベルの文章は読めます。しかしながら、高校受験の難関校で出題されるような文章はなかなかに読み取れません。小5レベルの文章と難関高校で出題される文章の違いは何かといえば、文章を読む前提として持っていなければならない知識や感覚の差です。

 ソシュールの言語学が構造主義にもたらしたもっとも重要な知見を一つだけ挙げるなら、それは「ことばとは『ものの名前』ではない」ということになるでしょう。ギリシャ以来の伝統的な言語観によれば、ことばとは「ものの名前」です。まず「もの」があり、ただ名前がついていないだけなので、人間がこちらのつごうで、あとからいろいろ名前をつけること、それがことばの働きである、という言語観をソシュールは「名称目録的言語観」と名付けました。
 この「名称目録」つまり「カタログ」としての言語観は、私たちにものの名前は人間が勝手につけたものであって、ものとその名は別に必然性があって結びついているわけではないということを教えてくれます。
(内田樹『寝ながら学べる構造主義』より)

 

実際の高校入試で取り上げられたことのある文章を引用してみました。ごく平均的な国語力の中学生が準備もなくこの文章を読んだら、おそらく何を言っているのか、ほとんど理解できないでしょう。この文章を理解するためには、本文中で扱われている語句に関する知識はもちろん、様々な現代文において「言語」というテーマに関してどのようなことが語られるのかということについて、一定レベルの知識を持っておくべきでしょう。

 

今週の授業に初参加の生徒に対しても、まずは5年生レベルの文章を読んでもらい、しっかりと内容を把握できることを確認した上で、文章を読む前提知識の重要性について考えてもらいました。

 文章を書く人は必ず読者を想定しています。たとえば『勝つための将棋 居飛車の研究』という本は、趣味として将棋をたしなむ人を対象に書かれています。将棋をさしたことのない人、ルールすら知らない人などは相手にしていません。だから、将棋はどうしたら勝ちになるとか、駒の並べ方とか、桂馬はどう進むとか、といったことは当然知っているだろうという前提のもとに書かれています。想定された読者の知識レベルに達していないのであれば、その文章は読めません。
 どんなに国語が得意だという人であっても、この想定された読者の知識レベルに達していないなら、その文章は読めません。こうすれば読めるというようなことを説明している国語の教師も『左冠動脈近位部血流の検出率と検出時間における機種および検者依存性に関する検討』などという医学論文を読めと言われたら、お手上げです。これは、心臓外科医や心臓外科医を目指す医学生などを読者として想定しているので、そうでない人には何のことやらさっぱりわからないのです。

 

こんな文章を読み、さらには知識がないために読めない文章を与え、しかる後に知識を与えてから再読してもらう。そうすることで知識の重要性を実感してもらいました。今後も折に触れてそのことを実感してもらいつつ、具体的に頻出のテーマに関する知識を段階を踏んで少しずつ入れていくことを目指しています。

 

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