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中学受験&高校受験 国語【難しい文章を読めるようになるためのアプローチ】

大学受験で出題される文章は、ごく普通の高校生には簡単に読み取れるものではないことが少なくありません。
高校受験や中学受験においても同様です。

 私はパーソナリティの発達過程とは、人格の多重化のプロセスである、というふうに考えている。
 幼児にとって世界は未分化の混沌である。幼児にとって世界との接点はもっぱら粘膜(唇など)であり、その対象は人間であれ、植物であれ、「快不快」を軸に分類されている。もう少し大きくなると、ある人間と別の人間では、メッセージに対する受容感度が異なることに気づくようになる。コミュニケーションをうまくすすめるためには、相手が変わるごとに、発声法や、言葉遣いや、トーンや、語彙を変えるほうがいい、ということを学習する。たとえば、母親に向かって語りかける言葉と、父親に向かって語りかける言葉は、別のものに分化しそれぞれ発達してゆく。
(内田樹『「おじさん」的思考 (角川文庫)  』より)

これは実際に高校受験において出題されたことのある文章です。ごく普通の中学生がこれをさらっと通読して意味が理解できるかと言えば、なかなかに難しいでしょう。

まず、一行目「パーソナリティ」という言葉が中学生には(もちろん小学生にも)馴染みがないでしょうし、「人格の多重化のプロセス」などと言われても「何を言っているのだろう?」となるでしょう。きっと次に説明が書かれているに違いないという期待を抱いて次を読んでいくと「幼児にとって世界は未分化の混沌である。」とこれまたよく意味のわからない文が続いている。多くの中学生は(小学生も)、このあたりでもう先を読む気力が薄れてしまうかもしれません。

多くの中学生はこのレベルの文章をいきなりは読むことはできません。語彙が難しい上に、この文章のテーマについての予備知識が全くないからです。内田樹さんの文章ですから、想定される読者は哲学とか現代思想というものに興味がある人ということになるでしょう。そういう人は、この文章で取り上げているテーマについての基本的な知識や教養というものを持っています。それを中学生に求めるのは酷というものでしょう。

しかし、この文章が小中学生に理解不能なものなのかと言えば、そんなことはありません。

 幼児は快適なときは笑い、不快なときは泣く。幼児期の子どもの行動を決定しているのは、自分の心地良さだけである。おもちゃ屋の前で子どもが「買ってー、買ってー」と泣き叫ぶのは、「ここで自分が泣けば、親は困って、しぶしぶ買ってくれるだろう」などと計算しているわけではなく、単に買ってもらえないことが不快だからでしかない。
 しかし、もう少し成長すると、いろんなことがわかってくる。「お母さんは泣けば、おもちゃを買ってくれるが、お父さんの前で泣くと、叩かれたり、どなられたりする。じゃあ、お父さんの前ではこの泣き落とし作戦はダメだな」などということを考えられるようになるのだ。つまり、この段階で子どもは相手によって態度を変えるということ、相手によって「人格を使い分ける」ということをできるようになったのである。これをちょっと難しくいうと「人格の多重化」と呼ぶことができる。

この文章なら理解できるという中学生(小学生)は少なからずいます。お気づきの通り、この文章は先ほどの文章と言っていることは、ほぼ共通しています。

では、このBの文章を読んだ後で、上のAの文章を読んだらどうでしょうか。いきなり読むときに比べると、だいぶハードルが下がるのではないかと思います。

難しい文章はいきなりは読めません。歯が立たないような難しい文章を読めるようになるには、頑張れば自分にも理解できるという文章を繰り返し読み、そこで得た知識や概念、物の見方を使って、次に一段階上のレベルの文章を読んでいくということ。このプロセスを繰り返すことで、徐々に自分の知識・教養、そしてそれを土台にした読解力のレベルアップを図ることが一番の近道だと考えます。

ONEの授業では、同じ文章を繰り返し読み、ひとつの文章を読み終えると、似たようなテーマの文章を続けて読んでいきますが、その理由はここで述べた通りです。

 

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