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【小学生】読書の効果と子どもが読書好きにならない理由について【国語】

小学生の読書について言いたいことはたくさんあります。折を見て少しずつ書こうと思いますが、本日はひとつだけ述べておきます。

「うちの子は読書をしないので、国語ができないんです」・「国語ができないので、本を読ませたいのですが……」というような話をよく耳にします。

確かに読書好きな子の多くは国語を得意としています。読書量と国語の力には関連があるように見えます。しかしながら、「読書好きだから国語ができる」のではなく、「国語ができる(本を読める土台がある)から読書好きになる」のではないでしょうか。「読まないから読めない」のではなく、「読めないから読まない」ということです。このあたりの事情について、述べていこうと思います。

本を読むという作業においては、われわれは活字だけを読んでいるわけではありません。一つ例を挙げて考えてみましょう。

 

『太郎は家に帰ってくるなり二階へ駆け上がり、バットとグローブを持って、外へ駆け出して行った。』

 

大人はこの文を読んで「野球がやりたくてうずうずしている少年が、大慌てで家に帰ってきて、そして大慌てで家を出ていく姿」を思い浮かべるとと思います。

しかしながら、この文には欠落している情報がたくさんあります。「バットとグローブを持って」とは書いてありますが、これから野球をするなどという情報は書かれていません。「駆け上がり」・「駆け出して行った」という事実は書かれていますが、慌てているとか、うずうずしているとかといった太郎の心理状態を表す言葉など全く書かれていないのです。ではなぜ「野球がやりたくてうずうずしている少年が、大慌てで家に帰ってきて、そして大慌てで家を出ていく姿」を想像したのでしょうか。

「バットとグローブ」というものが野球の道具であり、それを持って出かけるということは野球をやるに違いないという常識的な判断をし、「家に帰ってくるなり二階へ駆け上がり」・「外へ駆け出して行った」という行動から、太郎が「野球をやりたくてうずうずし、慌てている」心理状態であるという、やはり常識的な判断をしたからです。

本当は太郎はトイレに行きたくて慌てて階段を駆け上がり、二階のトイレで用をすませたのかもしれません。バットとグローブは友達に借りた物で、返す約束の時間に遅刻しそうだったのかもしれません。しかし、大人は「もしそうであるならば文章中にそのことをうかがわせる記述があるはずなので、そんな可能性はない」と判断するでしょう(これも常識的な判断です)。

では、子どもはどうでしょうか。常識が身についており(何が常識かという議論はここではしません)、それに基づいた大人びた判断ができる子であれば、大人と同じように欠落を埋めながら文章を読めるでしょう。けれども常識が身についていなければ、適切に欠落を埋めることはできません。太郎の心理(野球がやりたくてうずうずしている)も全くわかりませんし、今後の予測(きっと野球をしに行く)もつかない可能性が高いのです。

もしそのような状態であれば、本を与えて読ませたところで、本は読めません。ただの苦行になってしまいます。無理やりに本を読ませようとすれば、本に対するネガティブな思いだけが大きくなってしまいます。

ましてその段階で、読解問題の演習をするなどということは絶対に避けなければなりません。

先ほどの例で、太郎は靴を脱いだでしょうか? おやつを食べたでしょうか?

常識的な判断ができる子であれば「どんなに慌てていたって、家に上がる時に靴は脱ぐに決まっている」・「一刻も早く野球をしに行きたいと思っているのだから、のんびりおやつなんか食べるはずがない」と考えるでしょう。ところが、そういう判断ができない状態で、低学年から塾に通い、読解問題の演習などを繰り返してきた子の中には「本文に書かれていない」という理由で、「靴も脱いでいないし、おやつも食べていない」などと考える子がいます。いったんこうなってしまうと、修正するのは困難です。

本を読めないならどうするか。

たとえば、マンガはどうでしょうか。マンガで先ほどの例の場面を描くとすれば、主人公太郎の表情からうずうずし、慌てている感じを読み取ることができるかもしれません。慌てて脱いだ靴が吹っ飛んでいるような絵が描かれているかもしれません。活字だけだと欠落する情報が、絵によって補われているので、より容易に理解できるかもしれません。さらに映画やドラマ、アニメなら主人公に独り言を言わせるかもしれませんし、効果音や音楽などで場の雰囲気を感じることもできるかもしれません。こういったものに触れ、経験を積むことも必要かもしれません。

読書の疑似体験としての価値ということが語られることが多々ありますが、疑似体験は必ずしも読書でなくてもよいと考えています。活字の書物を読むということは、結構高いハードルなのです。

 

 

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