スポーツは健康にいいと言われますが、過度なトレーニングや間違った練習により、身体を故障するということは珍しくありません。勉強でもこれと似たことが起こることがあります。
今回は欲張った学習の危険性について述べさせていただきます。
たとえば、5年生で塾に入って受験勉強を始めたところ、特定の科目の勉強が全く成果が上がらないというケースは珍しくありません。その科目のテキストの学習に時間をかけ、保護者の方がつきっきりで教えたり、個別授業を併用したりというようなことをしても一向に成果が見えないというようなこともあります。
おそらく目の前で扱っている内容を理解するために必要な土台となる力がついていないということが最大の原因なのではないかと考えられます。もっと手前のものごと、たとえば小3や小4で学習する内容ができていない可能性が高いと考えられます。その場合は、先の学習をしても理解ができないし、できるようになっていきません。
勉強は「できること」を土台に一段ずつ階段を上がっていかなければなりません。
たとえば筋力を鍛えるためのトレーニングにおいては、2キロのダンベルしか上げられない状態でいきなり30キロのダンベルを持ち上げることはしません。2キロが当たり前に挙げられるようになったら、次に3キロ。3キロを持ち上げる練習を繰り返し、それが簡単にできるようになったら5キロという具合に徐々に負荷を上げていくという練習をするはずです。
勉強も同じであるべきだと考えます。目の前の課題ができないのであれば、その手前の課題はできるのか、手前の手前の課題はできるのかと検証し、当たり前にできるところと新しい課題をつなげていかなければならないのです。
お子様のその時点においてできることを無視して、無理なことを要求しても成果は出ません。無用な苦手意識を持ったり、その科目が嫌いになったり、能力自体が破壊されたり……という結果につながる可能性も否定できません。
難関中学を受験するからといって、4年生の段階で過去問演習をするようなことは誰もしないでしょう。しかしながら程度の差はあれ、これと同じことを行ってしまっているというケースは少なくないように思います。
もしかしたらそうなっているかもしれない……と思われた場合は、一度学習している内容がお子様の現状において適切かどうかを見直し、もし欲張った学習、無理な学習になっていると感じた際は、副作用ができるだけ大きくならないうちに対応を検討すべきだと思います。たとえ5年生であっても、4年生の内容や3年生の内容からスタートしなければならないこともあります。4年生が3年生や2年生の内容に立ち戻らねばいけないこともあるかもしれません。いずれにせよ、できるだけ早く対応しないと、立ち戻らなければならない物事が多くなるばかりです。
うまくいっていないことをできるようにするには多くの時間と手間が必要になります。
気になること、心配なことなどございましたら、学習相談等、随時受け付けております。こちらから入塾の勧誘は行いませんので、お気軽にご連絡いただければと存じます。