「うちは難関校を狙っているわけではないので、そんなにハードに勉強させなくても大丈夫です」というような話を聞くことがあります。
難関校というのがどのあたりの学校を指すのかわからないのですが、おそらく大手塾の模試の偏差値60以上の学校というようなイメージを持たれているのではないかと思います。偏差値45とか50という学校を難関校だと考える人はほとんどいないと思います。
しかし、我々はこのような考え方には問題があると考えています。
偏差値50と聞くと、平均とか真ん中というイメージを持たれる方が多いと思います。そのため、「小学校で平均的な学力レベルにいる子は偏差値50ぐらいの学校に合格できる」などと考えてしまいがちなのですが、これは完全な間違いです。
中学受験をする生徒の割合というのは、地域による格差はかなりあるのですが、最も比率の高い東京都の場合でも20%には届きません。偏差値50というのは、受験をする生徒の中での平均ということになります。
受験をする生徒たちは、ほぼ全員が受験のために進学塾に通い、塾通いをしない小学生では考えられないような学習を行っています。小学生全体の中では上位の学力を持った集団と考えられるでしょう。偏差値50というのは、この「小学生全体の中では上位の学力を持った集団」の中の平均的学力を示す数値なのであって、小学生全体での平均のレベルとは大きく異なります。
四谷大塚 | 日能研 | 首都圏 | 高校入試 | |
共立女子第二 | データなし | 38~39 | 41~44 | 特進58/総進53 |
佼成学園 | 35~44 | 40~55 | 41~56 | 難関62/文理56 |
日大二 | 43 | 40~45 | 56~59 | (B)64/(A)62 |
富士見丘 | データなし | 36 | 40~43 | アド58/グローバル53 |
明法 | 37 | 40~41 | 43~49 | 特進62/総進58 |
(偏差値に幅があるのは複数回入試の回次による差)
上の表は中学受験の三大模試の合格可能性80%偏差値と高校入試の偏差値を示しています。
四谷大塚の合不合判定テストや日能研の全国模試の偏差値で40前後の学校の高校入試の偏差値は60前後になっています。
中学受験の偏差値は小学生全体の中の比較的上位にいる20%にいる生徒が受けるテストにおけるものなので、ほぼすべての中学生が参加する高校受験の模試の偏差値とは大きく異なるのです。
公立小学校において平均的な学力の小学生というのは、高校受験の偏差値50に近いと考えてよいでしょう。その生徒が、中学受験の偏差値50の学校を目指すのは容易なことではないのです。偏差値50の中学校は、平均的な学力の小学生にとっては難関校なのです。偏差値40の中学校も、平均的な学力の小学生が何も準備をしないで合格できるということはないのです。