過去記事(こちら)にも書きましたが、現在5年生の国語の授業は文章を読んでいくための前提知識を入れることを目的としています。
ただし、社会の学習のように一対一対応で知識を入れていくことをするわけではありません。頭に入れたい知識や考え方が書かれた文章を繰り返し読み、文章の理解を深めていく中で、知らず知らずに頭の中に定着していくことを狙っています。
ここ最近は「原生自然と自然環境」というテーマについて学習しています。
最初にこのテーマの文章を扱う前に、以下のような内容につき、具体例などを挙げながら、時間をかけて丁寧に説明しました。
自然には大きく分けて二種類のものがあります。一つを原生自然、もう一つを自然環境と言います。
前者は人間の手が入っていない自然のことで、たとえばアマゾンやボルネオの原生林などがこれにあたります。日本では、屋久島とか白神山地など世界遺産に指定された森林のほか、数か所の原生林があるとされていますが、まったく人手が入っていないなどということはなく、そういう意味では原生林に近い森林といったところでしょうか。
後者は人間の手が入った自然です。われわれの周囲にある自然は、すべてこの自然環境です。
受験問題では「自然を守りましょう」というテーマの文の出題が多いのですが、実はこの「自然を守る」という場合に、原生自然と自然環境ではとるべき人間の対応が異なります。
世間では、人間と自然を対立するものと考え、自然を守るには人間が手を出さない、人間が近づかないことが最大の自然保護だと思われているようです。そのため、自然を守るために山林への人間の出入りを禁止するというようなことも行われたりしています。
しかし、人間が手を出さない、近づかないことが自然保護につながるのは、原生自然のみです。自然環境は人間が生み出した自然であり、人間がメンテナンスをし続けないと同じ状態を保っていくことはできなくなります。
こういった基本となる考え方を学んだ後、具体的な文章を読んでもらっています。
最初に「森林が荒れる理由」について書かれた文章を2週ほどかけて読み、その後に「国内の森林を世界遺産に指定することの問題点」について論じた文章をやはり2週ほどかけて読んでもらいました。読んだ文章については、毎回授業冒頭に確認プリントをやってもらいますので、一つの文章を3~4回は通読してもらうことになります。2本の文章は具体例は違えど、基本的には「自然環境は人間が手を入れなければ壊れてしまう」という共通したテーマの文章でした。文章を繰り返し読む中で、テーマについての知識を当たり前の知識にしてもらうことが目的です。同時に、文中に使用される語句についても頭に刷り込んでいくことも狙っています。
今回の授業から、「自然環境としての川」について論じた文章を読み始めました。今日のところは、語句の確認をした上で冒頭の10行ほどを読んだだけです。来週、続きを読むことになるわけですが、もちろん続きを読む前に確認プリントでその10行を再度読んでもらいます。繰り返し繰り返し同じ文章を読み、そこに書かれた内容や考え方が当たり前のものとなっていくということが重要です。
こうやって少しずつ知識を獲得していき、一つのテーマが固まったら次のテーマへと進んで行きます。多くの文章に触れるようになるのは、その先になります。