このことで頭を悩ませる保護者の方も少なくないのではないかと思います。
おそらくこの問いに対しては、塾の関係者からは客観的な答えを引き出すことは難しいと思います。
どうしても営業上の都合ということもありますので、たとえば小1からコースを設置している塾の教師は「スタートは早いにこしたことはありません」と言うでしょうし、小3からコースを設定している塾のスタッフであれば、「3年生ぐらいからが一番無理なくスタートできます」というような回答をするでしょう。
ONEに通うのであれば、どの時期からのスタートがよいかということについては、過去記事をご参照下さい。
一般論として何年生から塾に通うのがいいかということになると、子どもの個人差もありますし、塾によって指導のコンセプトも全く異なるので、一概には答えは出せないでしょう。
ただ、一つはっきりと言えることは、子どもの成長スピードを無視して、欲張った学習をさせることは望ましくないということです。
たとえば、まだ幼く、なかなか集中して話が聞けない状態のお子様に、抽象度の高い内容の説明をしても、上手く伝わらない可能性が高いでしょう。基礎計算がままならないうちに、高度な特殊算などをやらせたとしても、これも意味のある学習はできません。むしろマイナスの影響を与えてしまう可能性すらあります。
スポーツの練習においては、無理なハードトレーニングをさせる指導者は多くありません(皆無ではありませんが)。怪我の心配があるからです。しかし、なぜか勉強だとお子様の成長度合いを考えたときに無理だと思われる学習をさせる指導者は少なからず存在します。怪我と違って、問題が発生しても「この学習をやらせたためだ」ということに気づきにくいからでしょう。
特に低学年から通塾させる場合は、やらせる内容次第では、それがお子様の後々の学習にマイナスの影響をもたらす可能性があるということは考慮しておくべきだと思います。
お子様にとって理解できない説明を聞かせ続ければ、「話を聞いているふりをしながらぼんやりと聞き流す」癖がついてしまうかもしれません。記憶に特化したトレーニングをやらせ続け、覚えたことを評価され続けると、「覚えること」が勉強であると無意識のうちに刷り込まれてしまい、記憶だけでは処理できない問題、じっくりと考えなければいけない問題に対しても、考えようとせず、解法を記憶しようとするようになってしまうかもしれません。そうなってしまってからこれを修正するのは、非常に困難です。
我々は算数・国語・理科・社会という科目の勉強をつかって、お子様の能力を育てていきます。
しかし、お子様の能力は教室の中だけで育てればよいわけではありません。塾や学校では学問を主体にして、そしてそれ以外の場ではもっと違った様々な形で能力を育てていくことが望ましいと考えています。受験学年である6年生になると、勉強時間が多くなります。それまでの間に、教室の中では培えない能力を伸ばしていってもらいたいと思います。
好きな本やマンガを読んだり、パズルに取り組んだり、絵を描いたり、音楽を聴いたり演奏したり、スポーツに打ち込んだり、家の手伝いをしたり……というような中で培われる能力もあります。特に低学年のうちはそういう時間をたくさん確保することが大切だと考えております。